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2001年の天体望遠鏡

2001年5月26日

鏡筒

ライカのカメラ同様、 気がつくと天体望遠鏡も小遣いで買える代物になっていた。 とはいえ、この分野はかなりご無沙汰している。 持っている知識といえば四半世紀、 下手をすると30年前のものでしかない。 天文ガイドを買い込んだり、カタログをもらってきたり、 専門店で話を聞いたりする。

やはり技術の進歩というのは恐ろしいもので、 いまや口径6cmのアクロマートでF15なんて鏡筒は絶滅したようだ。 ビクセンのカタログを例にとれば、最低でも8cmアクロマートでF11程度。 まあガラスや設計が進歩したのでこのくらいなら収差も何とかなるのだろう。 実際には異常分散ガラス(EDとかUDとかいうアレ) を使ったものがスタンダードとなっている。 この辺だと8cmアポクロマートでF8あたりが入門用らしい。 まあEDレンズを使えばこのくらいのF値でも、 十分に色収差が補正できるようだ。 さすがに2群2枚のレンズでザイデルの5収差を全部消せるとは思えないが……。

なので、最近は直焦点撮影時でも良好な像が得られるようにした 「フォトビジュアル」なる鏡筒も一般化しているらしい。 眼視用なら中央だけがシャープでもよいのだが、 写真用となると周辺まで均一な像が要求される。 2群2枚では明るくできないので、 天体望遠鏡といえどもペッツバールレンズに近い構成のものになるようだ。 このあたりはペンタックスが強いらしい。 トミー製のBORGも、 大口径の写真撮影用と銘打った鏡筒になるとそれっぽいレンズ構成だ。 また、 フィールドフラットナーとかレデューサーとかいう名称の補正レンズを使うことで、 写真用の像を造り出すタイプの鏡筒もある。 とはいえ被写体が暗いので、 複雑なレンズ構成による光量ロスは避けたいはず。 トリプレットやテッサーになったりするのだろうか。

驚いたことに、高級品はみな平気な顔をして螢石を使っている。 写真用レンズで螢石を使っているのはキヤノンだけだというのに。

そうそう、 マクストフカセグレインをコンピュータ制御の経緯台に載せた望遠鏡もある。 こんな光学系が一般市販されているのかと思うと、 ますます隔世の感を強くする。

架台

架台のほうも、鏡筒に負けず劣らず様変わりしている。 赤道儀なら、もはやモータードライブは当たり前。 長焦点、長時間のガイドだと、 CCDカメラを使ったオートガイドなんてことまでやっている。 マイコンを含めて、デジタル技術さまさまといった感じ。 マイコンといえば、最近の経緯台はマイコンで制御するので、 天体の自動導入から追跡までやってくれる。 観望だけなら扱いの面倒な赤道儀よりもずっとよさそう。 さすがにカメラを同架して星野写真を撮るにはフィールドローテーターがいるので、 素直に赤道儀を使ったほうがよい。

販売店

天体望遠鏡のように専門性の高い商品は、 できれば詳しい店員のいる店で買いたいものだ。 天文ガイドの広告などを見ると、自宅の近くには結構専門店がある。

  • 協栄産業東京店
  • コプティック星座館
  • -スターベース東京店
  • 誠報社
  • ニュートン

2~3店回って「8cm屈折のコンパクトな赤道儀が欲しい」と質問したら、 「ビクセンのVG-80EDあたりがよいでしょう」という意見が多かった。 ビクセンのメーカーカタログには記載のないもので、 赤道儀やアイピースを廉価版にしたものらしい。 後からグレードアップできるのだが、 それをちゃんと説明できる専門店向けのパッケージということだ。 いまどきの天体望遠鏡は、 システム化だかコンポーネント化だかが進んでいて、 いろいろと交換できるらしい。 AT互換機同様、気がつくと余った部品でもう一組できてしまう、 なんてこともあるそうだ。

購入

結局、職場から歩いてすぐの場所にある協栄産業でVG-80EDを購入した。 10万円なりである。 モータードライブも勧められたが、またの機会にする。 よく星を見るようになってからでもいいだろう。 第一、 電池が無くなったら使えなくなってしまうというのには抵抗がある。 天体望遠鏡もカメラと同じ道を歩んでいるように思える。

さすがに店頭在庫はなく、 週が空けたら流通センターからの発送になるという。 到着は火曜日か水曜日だそうだ。 どうせこの先1週間はあまり晴れそうにないので、 おとなしく待つことにする。 ちょうど月と火星が見頃のはずなのだが。

2001年6月3日

意を決して、天体望遠鏡を組み立てる。 組み立てそのものは対して難しくないのだが、 しまう場所がないのである。 どうしよう。 ま、それは後で考えることにする。 組んでみた感じでは、さすがにそこそこの剛性感がある。 ピントを合わせようとしただけで像が踊ることはなさそうだ。

20:00頃、自宅の庭に持ち出す。 ファインダーの光軸合わせを適当にやってから、月を見る。 明治通りの内側なので光害がひどいし、 すでに上弦の月をこえているのでかなり空はかなり明るい。 暗い星をみるのは大変そうだし、テストだからなあ。 アイピースは付属のK20mmとOr5mmで、それぞれ36倍と144倍の計算になる。 前者では月の全体が見渡せるが、 周辺でやや色収差があるような気がする。 後者だと、けっこう細かい地形が見られる。 子供たちが見せてくれとせがむので、見せてやる。 それなりに感動したようだ。

今日のテストでわかったことは、

  • 中間倍率である12.5mmくらいのアイピースが欲しい。
  • どちらのアイピースも、アイリリーフが短い。
  • どちらのアイピースも視界が狭い。

ということだ。 購入したのは廉価版のVG-80EDなので、アイピースは24.5mm径のもの。 36.4mmから24.5mmへのアダプタがついていたわけだが、 カタログを見ると36.4mmから31.7mmへのアダプタが1500円とある。 これを買って、 アメリカンサイズの近代的アイピースを購入したくなってしまう。 しかし、広視野の高級アイピースだと数万円コース。 そうそうは買えない。 しばらくはOr12.5mmを足してしのごうか。

2001年6月14日

ボーグの拡大撮影用アダプタを購入。 もちろん単独では使えないので、望遠鏡側から順に

メーカー 型番 品名
ボーグ 7362 M36.4→M57/60AD
ボーグ 7400 拡大用カメラアダプターSD-1
ビクセン 3723-00 31.7→24.5AD
ボーグ 7401 M57→M28AD

を組み合わせて使うことにした。 本来ならばボーグのM60→M57/60ADを使ってドローチューブに取り付けるのが王道なのだろうが、 これでは繰り出し量が足らなくてピントが合わないおそれがある。 M57mmの延長筒を買うとなると、また高くつく。 その点36.4mmならED80Sに2本の延長筒が付属するので、 十分にピントを合わせられる。

さて、手持ちのアイピースは24.5mm径だが、 SD-1は31.7mm径のアイピースを前提とした設計だ。 したがって、そのままでは手持ちのアイピースが使えない。 そこで径を変換するためのアダプタと、 長さを合わせるための延長筒もボーグでそろえようと思った。 が、購入した協栄産業東京店の話では
「アイピースがビクセンのK20mmなら、 ビクセンの径変換アダプタを使うとちょうどいいくらいですよ。 このアイピース、おそらく世間に一番あるはずの代物ですけど。」
と、現物合わせで示してくれた。さすがは専門店である。

自宅に持ち帰って試してみると、なるほどちょうど合いそうだ。 もっとも梅雨のおかげでちっとも晴れず、 実際にテストできるのはよくても週末だろうなあ。 で、ふと考えたのだが、 実はこれで31.7mm径のアメリカンなアイピースを使えるようになったのではないだろうか。 ちょっと見た目が不格好だし、天頂プリズムもないけれど。

2001年6月16日

SD-1の試写を行う。 950の広角端(92KB)と望遠端(151KB)を比較すると、 広角端ではさすがにケラレがすごい。 かといって望遠端では色収差も拡大してしまうし、 まだケラレも残っている。 やはりK20mmとの組み合わせがまずいのかも。 いよいよアメリカンサイズアイピースの導入か。

2001年6月24日

眼視でも、よくよく見ればK20mmは周辺部で色収差がある。 今度はOr5mmを使ってみる。 撮影結果(422KB)を見るとさすがに色収差は目立たないが、 いかんせん拡大率が大きすぎる。

2001年6月27日

しばらくぶりに月が顔を出したので、COOLPIX950で撮影した。 K20mmと組み合わせての拡大撮影である。 雲の流れが速く、アイピースをのぞくとよくわかる。 見る間に月が動いていくのも、 カメラの液晶モニタを見ているとよくわかる。 赤経モーターくらいは使ったほうがいいのかも。

結果はこんなもの(113KB)。 撮影時に-1EVの補正を入れた。 現像せずにその場で結果がわかるし、フォーカスも露出も自動である。 デジタルカメラ様々だ。 でも、周辺部での色収差が気になるなあ。

2001年7月1日

今日は笠井トレーディングのプライベートフェアがあった。 うわさのシュワルツや忍者を見に行った。 で、ついでにアメリカンサイズの天頂プリズムと、 PL40mm、PL17mm、PL10mmのアイピースを購入。 さらに帰宅時に回り道をしてコプティック星座館により、 BORGのM57延長筒Mを購入。 これで、ドローチューブからM57mmのまま延長してSD-1を接続、 それを介して31.7mmアイピースを使える。 17mmだと、月の全景にちょうどいい。 40mmや17mmはかなりアイポイントが長い。 あまり目を近づけると、かえって視野が蹴られる感じで、 少し離れて眺めた方がいいようだ。

久しぶりに夜も晴れたので、月と火星を見た。 というか、自宅ではこのくらいしか見られそうにない。 10mmで月を見ると、シーイングが悪いのがよくわかる。 ゆらゆらと陽炎のように揺らめいている。 火星はor5mmで見ても「円盤状」なのがわかる程度で、 模様は見えなかった。

SD-1とCOOLPIX950で月の拡大撮影を行うと、PL17mmでも蹴られる。 で、PL40mmを使おうと思ったら、 アイピースが長すぎてSD-1に収まらなかった。 仕方がないので、手持ちで撮影する。 また延長筒の適当なものを探すことになりそうだ。 ともあれ、絞り優先にして開放だと、1/60秒のシャッターが切れる。 これなら手持ちでもなんとかなる。 全景(82KB)を写すには、 PL40mmくらいでちょうどいい。 でも、やはり周辺での色収差が気になるなあ。 ま、4000円のアイピースならこんなものか。

2001年7月7日

天体望遠鏡を使った直接焦点撮影が可能かどうか確かめてみる。 M60->M57アダプタ、M57延長筒M、M57->M42アダプタ、M42ヘリコイド、 M42->EOSマウントアダプタを組み合わせて、 ED-80SにEOS-1Vをつける。 思ったよりもファインダーは明るくて、 昼間の風景なら簡単にピントが合わせられる。 透過型のファインダースクリーンが必要かと思ったが、 月面を撮影する分には必要なさそうだ。 ピントも望遠鏡接眼部のラック&ピニオンで十分追い込めるので、 M42ヘリコイドは不要かも。 無限大だと繰り出しは少なくなるので、 ピントが合わなくなる心配もなさそうだ。

ただし、ミラー切れとおぼしき現象が見受けられた。 FDマウント、 EOSマウントはフランジバックが短いのでさまざまなマウントアダプタを作りやすいが、 その分ミラーの大型化に無理があるようだ。

2001年7月14日

今度は、火星の撮影に挑戦してみた。 23:00ごろ、玄関先から狙える位置にきた火星を相手に、 PL10mmのアイピースをリレーしてCOOLPIX950で拡大撮影を試みる。 さすがに小さい。ピントが合っているのかどうかもさっぱりわからない。 絞り優先AEだと8秒くらいの露光時間になってしまい、 輝線(15.7KB)になってしまう。 見ているうちにどんどん視野から逃げ出していくのがわかる。 シャッター速度優先AEにして、1/15秒を設定するとまあまあのようだ。 結果(7.97KB)を見ると、 極冠があるような気がする。

2001年7月22日

誠報社でセールをやっているので見に行く。 スカイセンサー2000PCが8万9800円だったので、つい買ってしまった。 定価が12万8000円だものなあ。 約3割引という大変お買い得な値段だった。ヨドバシで買うよりも安い。 アメリカンサイズのOr4mmもついでに買おうと思ったら、品切れだった。 ミザールの7倍50mm双眼鏡を5800円で売っていた。 以前スターベースで購入したものと同じで、お買い得な双眼鏡だと思う。 帰りに秋葉原に寄りハードディスククーラー(980円)と12V8Ahの鉛蓄電池(2700円)を買う。 相変わらず、秋月電子は面白そうなブツを並べている。

さてスカイセンサーだが、モーターは赤経も赤緯も同じものを使う。 そのため、モーターケースのカーブが極軸体とは微妙に合わないという、 ちょっと間が抜けたことになる。 また、歯車の位置を合わせる必要もある。 これは、機械に弱い人だと組み立てに難儀するだろうなあ。 ギヤ間の遊びなんて、 モーターケースを取り付けるボルト1本で調整するのだ。 あまり現代的な設計ではないな。

電源は単一乾電池を8本使うケースが付属するが、 外径5.5mm内径2mmくらいのジャックで供給するようになっている。 部品箱内のストックでそれらしいジャックを探して、 秋月で購入した鉛シールドバッテリーに半田付け。 極性はセンターアースである。 で、とりあえずコントローラだけをつなげてみると、おお動く。 時間と観測地の緯度経度を入力して、いったん電源を切る。

赤道儀を三脚に載せ、鏡筒をセットしてバランスを取る。 モーターとコントローラと電源の配線をすませて、電源を入れる。 一応、モーターで動かせるようだ。 残念ながら薄曇りなので、 部屋の中で擬似的にアライメントを取ってみる。 イニシャルでは対物レンズが西側にあるので、 西側にある星から順に基準星を取ってアライメントをとったほうがよさそうだ。

しかしPCからコントロールするときのコマンドがマニュアルに載っていないというのは困ったもんである。

2001年8月4日

スカイセンサー2000PC、デビュー。 アルクトゥールスと火星とアルタイルで3点アライメントをとったことろ、 17mmアイピースなら視野内に収まる程度の精度が出た。 極軸は高さを緯度に合わせ、 方角はおおむね北に向けるといういいかげんさ。 さすがに最初のアルクトゥールスはかなり外れた。

火星を撮影しようと思ったのだが、 もたもたしているうちに沈んでしまった。 正確に言うと、瓦屋根のむこうに隠れてしまった。 しかたないので、 PL40mmとSD-1を使って月を撮影した。 補正なし、-1EV、-2EVのカットを比べると、補正なしでちょうどよい。 さすが分割測光と言うべきか。 うまい具合に黒バックに引きずられて明るめに写ったと言うべきか。

COOLPIX950の電池が切れたところで、適当に天体観望を行う。 いやー、自動導入って楽だわ。 さすがに月齢14近い月があるし、 もともと光害のひどいところなので星雲星団のたぐいはほとんど見られなかった。 とりあえずダブルダブルスターとして有名なこと座のεと、 アルビレオを見る。 こと座ε のほうはOr5mmを使って分離できたような気がする。 アルビレオのほうはPL40mmでも分かれて見える。 PL17mmで見るのが一番きれいだった。 ついでに、天王星、海王星らしきものも見た。 これこそ、自動導入様々である。 ま、本当にそうだったのかは怪しいが、 倍率を上げると円盤状だったような気もする。

2001年8月31日

ミードのUW4.7mmアイピースを購入。 とういか、購入自体は8月25日だったのだが、 購入以来天候が悪くていまだに使えない。 ので、手持ちのアイピースで得られる倍率と実視界を計算してみた。

主鏡 アイピース 焦点距離 倍率 見かけ視界 実視界
有効口径 80 PL40mm 40 18.0 43 2.39
焦点距離 720 PL17mm 17 42.4 52 1.23
F 9 PL10mm 10 72.0 50 0.69
Or5mm 5 144.0 42 0.29
UW4.7mm 4.7 153.2 84 0.55

2001年9月24日

昨晩は久しぶりに晴れたので、望遠鏡を持ち出した。 で、撤収するときにうっかり電源プラグをバッテリーの端子に接触させてしまった。 当然ショートして「パチッ」 という音と共に懐かしい電子部品の焦げる匂いが立ちこめた。 見ると、配線の一番細い部分が見事に断線(23KB)している。 一番細くて抵抗が高かったので、ここが先に発熱してやられたのだろう。 とんだヒューズになったものである。

2001年11月4日

久しぶりに晴れた週末で、19:00に家にいる。 これまた久しぶりに、VG-80EDを箱から取り出す。 2階の玄関先からなら、まだ十分火星の高度があって撮影できる。 が、ここは視界が狭くてスカイセンサーのアライメントがうまくとれない。 アルタイルと火星でアライメントをとろうとしたのだが、 1点アライメントにしかならなかった。 別に長時間露光をするわけではないので、 極軸をおおよそ北に向けておけばモータードライブの恩恵は十分に受けられる。

COOLPIX 950をつけた状態で火星を導入するのに手間取ったが、 今回は31.7mm延長スリーブを用意したおかけでアイピースとカメラレンズの距離が縮まった。 結果、視野のけられが少なくなったので導入も楽になったようだ。 前回は、10mmのアイピースでも導入に失敗したが、 今回はミードのUW4.7mmでも導入できた。 SD-1経由でCOOLPIX 950を取り付けるとき、 スカイセンサーのコントローラーを片手に微調整したのも功を奏した。 1/15秒、1/8秒、1/4秒のシャッター速度優先AEで撮影したが、 どれがいいのかなあ。